コラム211号 掲載

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◎「優しさにひとつ気がつく ×でなく○で必ず終わる日本語」

 2年前の今頃、歌人の俵万智さんがSNSに投稿した一句が反響を呼びました。これは、LINE等のSNSで「文末に丸をつけると怖い」という、いわゆる「マルハラ」についての短歌です。
 SNS中心の環境で育った世代は、異なる世代と「表情」や「声色」といった非言語情報を受け取る機会が少ないまま社会に出ているため、わずかな言葉のニュアンスが心理的な負担となり「大丈夫ですか。」というだけのメッセージすら冷たく感じることがあると言われています。
 「マルハラ」は、世代間の言葉の受け取り方の違いを象徴していて、このギャップが知らず知らずのうちに職場の人間関係をぎこちなくさせることがあります。産保センターへも「若者とのコミュニケーションが難しい…」「指導するとパワハラと言われるかも…」等、管理者クラスの方からの相談が寄せられます。また、上司や先輩が何気なく発した「もっと頑張れ」「なんで報告しなかったの」という言葉が、若者の心に深く刺さり、メンタル不調の引き金になることもあります。
 俵さんは、ある対談の中で「言葉は「使うほど増える貯金」のようなもの」と述べています。これは、日々の何気ない肯定的な言葉がけが、受け取る側の心に蓄積されていくことを意味していて、会社では、上司から部下への「ありがとう」や「助かった」といった小さな「言葉の貯金」が部下の「レジリエンス(困難をしなやかに乗り越え回復する力。精神的回復力)」を育て、逆に、言葉の貯金が空の状態での叱咤激励は、相手の心を削る刃になりかねないといえます。
 管理者クラスの方は、若手世代が記号一つに込めるニュアンスを「過剰反応だ」と切り捨てるのではなく、相手がどう受け取ったかに想像力を働かせる「受け取る力」を磨くことで、若手世代の小さなSOS─言葉の裏に隠された悲鳴─が見えてくるかもしれません。「言葉を大切に受け取り合う文化」を職場に広げることが、若者が安心して力を発揮できる職場づくりの第一歩となるのではないでしょうか。
 岩手産業保健総合支援センターは、4月から新体制となります。引き続き、研修会の開催や相談対応により、産業保健スタッフの皆様の支えになれるよう業務を推進いたしますので、これからもお気軽にご利用ください。

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