コラム125号 掲載

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 去る平成31年3月8日、第198回通常国会(現在開会中の国会)に厚生労働省から「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案」が提出されました。

 法律名だけを見ると、女性の就業環境の整備の法律かなと思うかもしれませんが、実はこの中には複数の法律改正案が含まれていて、その中に「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」の改正案も含まれています。これまた、国の雇用対策に関する法律かと思いきや、実はこの法律改正案にはパワーハラスメントに対する規制が盛り込まれています。
 すでに、マタハラ、セクハラについては一定の法規制を受けていますが、今回の改正法案が可決成立すると、パワハラについても法規制されることとなります。

 これは、あくまで私の個人的な考えですが、様々あるハラスメントと呼ばれるもののうち、マタハラとセクハラについては他のハラスメントとは違い、根底に性差別があるんじゃないの?と考えていたので、マタハラ・セクハラが法規制されるというのは至極当然と思っていました。
 しかし、パワハラについては、研修会の際にも「指導とハラスメントを分ける基準は何か。」、とか「どこまでが指導の範疇でどこからがハラスメントか。」とかの質問を受けることが多く、この辺りを法律で線引きするのは困難だろうと思っていましたが、今回の改正法案の中で一応の定義が示されました。

 それは、

「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されること」

 なんだそうです。

 う~ん、解るような解らないような…。
 でも、その曖昧さのおかげでパワハラだけでなく、出席が義務とされている酒の席で先輩や上司から飲酒を強要されるアルハラや、会計業務を持っているというだけで、他の部署に必要以上の指図やダメ出しをするマネハラなど、様々なハラスメントにも当てはめられる基準となっているのではとも思います。

 ただ、「職場における優越的な関係」には、発注者と受注者、元請けと下請けのような企業間の関係は含まれるのか、その場合の措置義務者は誰になるのかなど疑問点もありますが、この改正法案の中では、厚生労働大臣は指針を定めて公表することとされていますので、この辺もおそらく、指針で整理されると思います。

 企業社会はいろんな人間で構成されていますので、一概には言えないところですが、上司や先輩、部下と言っても、仕事を遂行する上ではお互いをパートナーとして尊重しあうことができれば、ハラスメントのリスクは低減できるのかなぁなどと考えています。
 もし、上司が特別に持っているものがあるとすれば、それは「判断と責任」で威張ることではないんじゃないかなぁなどとも思っています。

「実ほど頭を垂れる稲穂かな」日本にはいい言葉がありますね。

「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案」
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/198.html

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