コラム第114号 掲載

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 皆さんは、「THP」(TPPじゃないですよ)という言葉をご存じでしょうか?「Total Health promotion Plan」の頭文字を取って「THP」と言っています。
 心と体の健康づくりプランとか、健康保持増進計画とも言われています。

 これは、昭和63年9月1日に労働省(当時)から出された「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」に基づくものです。
 この指針が定められた背景として、定期健康診断の有所見率が年々増加していること、特にメタボリックシンドロームが強く疑われる者とその予備軍を合わせた数が約2,000万人にのぼると推計されていることと、仕事に関して強い不安やストレスを感じている労働者の割合が高い水準で推移していることが挙げられています。

 メタボやメンタル不調は、症状が出てからの対策では改善が難しいということについては、皆さんも十分ご理解いただいているところだと思います。
 そこで、健康なうちから、計画的かつ継続的にメタボやメンタル不調の予防に取り組みましょうというのが、この「THP」です。

 その進め方として、指針では産業医を筆頭に、運動指導担当者、運動実践担当者、心理相談担当者、栄養指導担当者、保健指導担当者などのスタッフを社内で養成することを求めていますが、これはなかなか難しいですよね。
 この指針でもそれを考慮して「労働者健康保持増進サービス機関等」の利用を勧めています。
 この「労働者健康保持増進サービス機関」の指定も含め、「THP」の推進については、厚生労働省の委託を受けた中央労働災害防止協会が行なっています。県内にもサービス機関がありますので、ご興味のある方は是非中災防のホームページでご確認ください(URLは下にあります。)

 労働者の健康保持増進をなぜ企業がやらなければならないの?という疑問もよく耳にします。もちろん、労働契約法上の安全配慮義務という考え方もありますが、例えば、心身の健康不安を持っていない労働者だけの集団と、心身の健康不安を抱えている労働者だけの集団があったとして、どちらの生産性が高いでしょう。もちろん、前者ですよね。
 企業としても、労働者が心身の健康不安を抱かず、仕事に取り組んでもらう方が、生産性が向上するわけですので、労働者の健康保持増進は生産性向上のための投資と捉えることもできるのではないでしょうか。

 同じような考えから、最近は「健康経営」という言葉も聞かれるようになりました。この「健康経営」は政府の「経済財政運営と改革の基本方針」(いわゆる「骨太の方針」)に盛り込まれたもので、進め方としては、健康保険組合など医療保険者が持つ加入者の健康データを活用し、データ分析に基づき、個人の状況に応じた保健指導や効果的な予防・健康づくりを行おうというものです。
 これも厚生労働省で推進していますが、経済産業省でも、東京証券取引所と共同で、健康経営に取り組んでいる上場企業を「健康経営銘柄」として公表しているようです。

 「THP」も「健康経営」も、わが社にはまだちょっとハードルが高いかなとお考えの方に、取り組みやすいと思われる情報を一つ。

 岩手県県央保健所では、事業場で参加する「健康づくりチャレンジマッチ」を実施しています。
 これは、「事業場で7日間、健康づくり体験をしてみましょう」というもので、血圧や体重の測定、歩数測定を行い、従業員の参加率や平均歩数で上位の企業は表彰してもらえるようです。

 4月です。新年度のスタートです。
 新年度の新たな取組として、まずは、無理なく取り組めるところから、労働者の健康保持増進、健康経営を考えてみませんか?

中央労働災害防止協会「THP」とは
 http://www.jisha.or.jp/health/thp/index.html

健康経営のガイドライン
 http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000171483.pdf

健康づくりチャレンジマッチのお問合せ
 岩手県県央保健所 保健課 電話:019-629-6562

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