コラム第117号 掲載

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 毎年7月に入ると、マリオスの3階から出た広場で近隣の方々でしょうか、さんさ踊りの練習が行われます。今年も夕方6時頃になると太鼓の音が響き渡りはじめます。
 盛岡生まれの私にとっては、もの心ついた時から盆踊りといえば「さんさ踊り」でしたので、「さんさ」という言葉に何の疑問も持っていなかったのですが、盛岡駅の中を歩いていると、「さんさ」って何?という会話を耳にしたりします。おそらく県外からの旅行客の方なのでしょうか。たしかに「さんさ」の意味ってなんだろう?

 さんさ踊りの起源は、ガンライザーと姫神結が悪鬼羅刹を封印…ではなく、三石神社の神様が村人の願いを聞き、悪行を重ねていた鬼、羅刹を懲らしめ、もう悪さをしないという約束の手形を岩に押させたことに村人が喜び、岩の周りを「さんさ」「さんさ」と喜び踊ったというのは有名な話なのですが、この中でも「さんさ」の言葉の意味は出てきません。

 「レファレンス協同データベース」によると、
 「三本柳さんさ踊り」“さんさ(参差)入り乱れて踊ったのが始まり”、
 「大宮さんさ踊り」“住民が喜んで岩石を囲み手に笹を持って踊ったのが笹踊り、言葉がなまってさんさ踊りの始まりだと伝えられている。またある和尚が修行中の坊主を集めて、皆踊れサーサと声をかけて始めたのが、さんさ踊りになったとも言われている。”、
 「山岸さんさ踊り」“殿様は大いに喜び「サァサ踊れ、サァサ踊れ」と、自らも踊りの中に入って楽しまれた。その時の「サァサ」が「さんさ踊り」の名になったという”、
 「澤目さんさ踊り」“さんさ踊りは本来33種の踊りがあってサンサ(三十三)踊りと云われていた”
 と解説されています。

 地域によっても諸説あるんですね。

 また、同データベースには“「日本民謡辞典」によれば、「サンサヨー」という囃し言葉からきた名称であろうとしています。「日本民謡集」を著した町田嘉章も、「サンサは囃子詞より出。(略)」と記し、「さんさ」が近世において囃子詞として慣用されてきたところからの名称としており、これが通説になっています。”との解説もあります。

 なるほど、確かに、さんさ踊りの歌詞には「盆の八月ヤーハイ正月から待ぢだ(サッコラチョイワヤッセ)待ぢだ踊りも今夜ばかりサーンサヨー(サッコラチョイワヤッセ)」って「さんさ」って囃し詞が入るし、南部牛追い歌にも「西も東もサァーハーエー 金の山コーラサンサーエー」、外山節にも「だれも折らぬで、ほだとなるコラサーノサーンサ コラサーノサーンサ」と岩手にも「さんさ」というお囃しがつく民謡がいくつかありますねエ。うん。

 同じく、“「口訳日本民謡集」「さんさ」という囃し詞自体は、おそらく一音の囃し詞「サ」を重ねた「ササ」に撥音や促音がはいって「サンサ」とか「サッサ」になっていったもの”との解説もあります。

 ふ~ん、ということは、ドジョウ掬い踊りで有名な安木節の「アーラエッサッサ」や日体大伝統の「エッサッサ」と「さんさ」は同じ意味合いなのね。もしかすると、なんかの拍子で安木節の歌い出しが「アーラエッサンサ」、盛岡は「サッサ踊り」となっていた可能性もあったのか…。

 まぁ、こういったものは諸説あったほうが楽しいですし、伝統文化に理由を求め過ぎるのも野暮というもんですよね。
 といいつつ、「サッコラチョイワヤッセ」ってなんだろう?

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