コラム119号 掲載

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 「第十二条 主務大臣ハ病者又ハ産婦ノ就業ニ付制限又ハ禁止ノ規定ヲ設クルコトヲ得」

 明治44年に制定された工場法の一つの条文です。現在の労働安全衛生法は附則を除いて第123条までありますが、明治44年に制定された工場法は、わずかに第25条まででした。
 そして、この25の条文で労働条件や就業制限、労災補償、罰則までを定めており、労働衛生に関係しそうな条文としては、年少者の危険有害業務の禁止を定めた第10条と、この第12条くらいです。

 そして、この工場法第12条の「病者」については、工場法施行規則において、

「第八条 工業主ハ左ニ掲クル疾病ニ罹レル者ヲシテ就業セシムルコトヲ得ス但シ第四号又ハ第五号ニ掲クル疾病ニ罹レル者ニ付伝染予防ノ処置ヲ為シタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
   一 精神病
   二 癩、肺結核、喉頭結核
   三 丹毒、再帰熱、麻疹、流行性脳脊髄膜炎其ノ他之ニ準スヘキ急性熱性病
   四 微毒、疥癬其ノ他伝染性皮膚病
   五 膿漏性結膜炎、「トラホーム」(著シク伝染ノ虞アルモノ)
     其ノ他之ニ準スヘキ伝染性眼病」

 とされています。
 この時代は、富国強兵を合言葉に国を挙げて産業の近代化、殖産興業の推進を図っていた時代で、かなり過酷な労働条件であったことは、いわゆる「女工哀史」としてご存知の方も多いと思います。
 国営の製糸工場はまだ良かったようですが、それ以外では、女工の宿舎の一人あたりのスペースは畳1畳。しかも、勤務が12時間勤務の2交替制であったことから、女工2人に布団一組といったような工場もあったようで、そのような環境では、やはり一番の問題は結核などの感染症だったのであろうことが伺われます。

 それともう一つ。感染症を抑えて一番最初に「精神病」が挙げられていることには少し驚かされます。
 当時もメンタルヘルス問題があったのでしょうか?それとも、当時は精神病も感染すると考えられていたのかしら?

 毎年10月1日から10月7日までは「全国労働衛生週間」です。これを機に事業場の労働衛生対策の変遷などをひも解いてみるのもいいかもしれません。

岩手産業保健総合支援センターでは、治療と職業生活の両立を応援します!